余呉町長「誘致を再検討」

高レベル放射性廃棄物最終処分場
Kyoto Shimbun 2006年9月1日(金)より→cache

 滋賀県余呉町の畑野佐久郎町長が、昨年10月にいったんは断念した原子力発電の使用済み核燃料に伴って生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分場の誘致について、町議会の全員協議会で再検討する考えのあることを表明していたことが、31日に分かった。

 全員協議会は8月8日にあり、畑野町長は使用済み核燃料再処理施設のある青森県六ケ所村を視察した様子を報告した上で、「(3段階ある候補地選定の調査の第1段階に当たる)『文献調査』だけでも受け入れを検討したい」と発言した。議員からは「誘致を断念した舌の根も乾かないうちに、言い出すべきではない」などと反発する声もあった、という。

 畑野町長は再検討に至った理由について、「リストラにも限度があり、このままではいずれ町財政は破たんする。財源確保のためと原子力廃棄物は必ず出ることなどを町住民だけでなく近畿の人や国民みんなで考えてほしいから」と話している。

 文献調査を受け入れると、現行では年間2億1000万円の交付金が周辺も含む地元自治体に支払われる。これまでに、余呉町のように誘致に名乗りを上げた自治体は複数あったが、周辺自治体や県の強い反対で立ち消えになっている。

 このため、経済産業省資源エネルギー庁は、交付金を来年度は年間10億円(限度額20億円)に増額するよう手続きを進めている。

 昨年10月、余呉町が誘致を断念した背景には県の反対があったが、今回の畑野町長の発言について、県企画調整課は「琵琶湖を抱える県としては誘致が適当でない、との考えは変わっていない」としている。
 高レベル放射性廃棄物は、原発の使用済み核燃料から出る「核のごみ」をいう。その最終処分場確保は原発事業の最大課題とされ、廃棄物をガラスで固め、ステンレス容器に封入して地下300メートルより深い層に保管することが計画されている。