高レベル廃棄物最終処分地の選定作業後押しへ、エネ庁が交付金拡充方針

電気新聞/ニュース7月21日付→cache

 経済産業省資源エネルギー庁は、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定作業を後押しするため、電源三法交付金による支援を拡充する方針だ。

 最終処分地の選定は公募方式で行われており、応募した自治体には「電源立地地域対策交付金」が交付される。現在、同交付金は選定作業の初期段階に当たる「文献調査」で年2.1億円を交付限度額にしているが、エネ庁はこれを十数億円程度まで拡充する見込み。応募期間などに一定条件を設けることなども検討する。07年度予算の概算要求に盛り込む。

 最終処分地の選定作業は、自治体の自主性を尊重する??公募方式??で行われている。

 最終的に処分地を決定するまでには「概要調査地区」「精密調査地区」「最終処分施設建設地」の3段階の手続きを行う仕組み。例えば「概要調査地区」の選定では、まず市町村自らが候補地として応募した後に、文献などから地層を調査する「文献調査」を実施。その後、文献調査の対象となった市町村の中から概要調査地区を選定する。

 原子力発電環境整備機構(NUMO)は、02年末から全国の市町村を対象に、候補地選定に向けた公募を開始。これまで西日本地域を中心に複数の自治体が応募に向けた動きを見せたが、実際に応募するまでには至っていない。

 現在の最終処分計画では「平成40年代後半」をめどに最終処分を開始するとされている。概要調査地区も「平成10年代後半」をめどに選定するとされており、ここ1〜2年の間に市町村から応募があるかが焦点となっている。

 このため、総合資源エネルギー調査会経産相の諮問機関)原子力部会の小委員会では、国やNUMO、電力会社などは最終処分地の選定にむけた取り組みを強化することを決めた。

 今後、エネ庁は電源三法交付金を拡充するほか、幅広い国民への広聴・広報活動などを強化する。NUMOも地域の将来を描く「地域共生モデルプラン」を策定するなど、地元により密着した活動に力を入れる。原子力安全・保安院も高レベル放射性廃棄物の安全規制をまとめており、来年の通常国会に原子炉等規制法の改正案を提出する見込み。